「子供に歯の大切さを伝えたいけど、いい方法はないかしら?」
「幼稚園のクラスで使えそうなパフォーマンスは?」
定期健診で幼稚園を訪問した際に、よくこんな相談やお悩みの声を聴きました。
そして、幼稚園から「年少から年長の全園児を対象に10分以内で'歯の大切さ'を伝えて欲しい」という講演依頼が舞い込みました。
そこで作成したのが、この虫歯予防のための画像でした。
長年、幼稚園でこの画像を使用した紙芝居の効果は顕著で、紙芝居を行っている幼稚園とそうでない幼稚園での、虫歯をもつ子どもの数は明らかに違ってきています。もちろん、紙芝居を見ただけの効果ではないのですが、“歯を大切にすること”“歯磨きの大切さ”などが広く浸透できていることも一因だと思います。
もし、子どもの虫歯予防で困っている方がいらっしゃれば、この画像が助けの1つになればと思います。
写真:幼稚園での定期健診の様子。
作者は、毎年6月4日の虫歯予防デー近傍で、幼稚園に歯科健診に出掛けます。
A幼稚園では画像を上映し、B幼稚園では上映していなかったので、両幼稚園の健診の結果をまとめて統計処理しました。その結果画像を見たA幼稚園の園児の方が、新しく虫歯になる本数が少ないことが分かりました。
虫歯がある | ない | |
A幼稚園 | 7 % | 92.9% |
B幼稚園 | 12.4% | 87.6% |
また、画像を見たA幼稚園の方が、虫歯になってもよく治療していることがわかりました。
治療済み | 未治療 | |
A幼稚園 | 48.4 % | 51.6% |
B幼稚園 | 34.2% | 65.8% |
さらに、虫歯の治療率はより低年齢の年中児で明らかな差があることがわかりました。
年長 | 年中 | |
A幼稚園 | 48.6 % | 43.7% |
B幼稚園 | 45.8% | 11.7% |
このように、画像を見たことが、虫歯発生予防につながり、治療への動機づけができたと言えます。
また、幼稚園では幼児だけに画像を見せたのに、歯科受診という行動に結びついたことから、画像の主張である歯の大切さが幼児の記憶に焼き付き、各家庭に理解した内容を持ち帰ったと想像されます。
※この結果は「2016年乳幼児教育学会」にて発表しました。
※効果には個人差があります。